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執筆者の写真リハビリスクエア【リハスク】

頸椎レントゲンの見方~実践~

前の記事で頸椎レントゲンの解剖について説明してきましたので、解剖を踏まえた上での見る実践編になります。



前回までのところでも触れましたが、頸椎レントゲンでは側面像が最も多くの情報が得られると言われています。


ここでは、側面像を中心に正常画像から最低限見るポイントをまとめていきたいと思います。



それでは、順番に見ていきましょう



1.環椎歯突起間腔(距離):ADI(Atlanto-dental interval)


頸椎画像を見る時はまず、これを見るべきというポイントですね





その名の通り、環椎の前結節後縁からと歯突起の前縁の距離を指します。


正常範囲は以下の通りになります      成人≦3mm    小児≦5mm


ADIが正常より大きいということは、環椎横靭帯が何かしらの原因で緩み環軸関節が亜脱臼している可能性が示唆されます。

環軸関節が不安定だと、脊髄圧迫のリスクが高い為、介入時は注意が必要となります!なので、リスクマネジメントとしても必ずレントゲンを見たときは、この部分は押さえておきたいところです。



原因としては、外傷・ダウン症候群・RA・DSAなどが挙げられます。


このDSAというのは、破壊性脊椎関節症のことで、長期透析を受けている方に生じやすい病態です。アミロイドが脊椎に沈着して骨を破壊してしまうという怖いものです。 透析の方に関わるときに、もし首を触るようであれば、必ず注意しなければなりません。


2.側面アライメント


頸椎側面像では、4つの重要な線があります。


①前椎体線:椎体の前方部分を走る線 ②後椎体線(ジョージ線):椎体の後方部分を走る線 ③棘突起-椎弓板線:C1~C7の棘突起-椎弓板間接部を通る線 ④棘突起線:棘突起の先端部分を走る線(C1は除く)



フリーハンドで線が曲がっていますが。。(実際は定規を使って引いてみてください)。



これらの線の明らかなずれは、骨折や脱臼・靭帯弛緩・変形性関節疾患などの可能性が疑われます。


3.脊柱管矢状径


先ほどの後椎体線(ジョージ線)と棘突起-椎弓板線の間の距離を測定します。この間はすなわち脊柱管になりますので、狭い場合は脊柱管狭窄症が疑われます。ちなみに12㎜以下は脊柱管狭窄が疑われる基準になります。




4.椎前軟部組織


椎体前方にある軟部陰影との距離を測定します。この前方には咽頭・喉頭・気管があります。




咽頭後部間腔(RPI):C2~3 喉頭後部間腔(RLI):C4~C5 気管後部間腔(RTI):C5~C7

・C2~4レベルでは7mm以下が正常範囲(成人、小児いずれも) ・C5~7レベルは、小児14mm以下、22mm以下


この数値が大きくなると、咽頭後部の腫瘍や新生物、外傷後血種などを疑います。



5.その他ABCS所見


ここまでは、ABCS所見でいうところの、Aの部分についてが主でした。それでは、その他頸椎で見るべきBCS所見もまとめておきたいと思います。



●B(骨) ・椎体の縁がはっきりと見えるか。皮質・骨梁配列を含めて骨密度はどうか ・椎弓根がはっきりと見えるか(前後像で確認) 骨棘はあるか ・骨破壊はあるか ・先天性の過形成、頸肋などはみられないか

●C(軟骨) ・椎間板高の減少は起きていないか ・甲状軟骨の石灰化はないか ●S(軟部組織) 軟部組織(椎体前部の)に異常はなさそうか ・気管の空気の影、咽頭・喉頭などは見えるか


などなど。



この辺りをチェックしていくと、良いと思います。これらをベースに理解しておくと、異常があるレントゲンを見た時に違和感を覚えやすく、「何かおかしい」と気づくことができると思います。


見る機会があれば、どんどん見て慣れていきましょう!

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