今回の記事は、臨床上であいまいになりがちな筋組織の状態について解説します!
筆者自身、具体的にするのをサボっていました笑
(本当はちゃんと具体的に区別した方がいいんですよ、、)
結局、大切な部分は一つに集約されるのですが機序が異なったりすると
アプローチ方法が微妙に変わったりするので区別するのは大切です。
ということでさっそく本文に参りましょ!
筋肉における代表的な3つの問題
筋肉における代表的な問題点は以下の3つ挙げられます。
・筋攣縮(筋スパズム)・筋短縮・癒着
筋攣縮は筋緊張の問題、筋短縮は筋の構造的な問題、癒着は周囲組織との滑走性の問題。
それぞれ原因が違うので、アプローチも変えなければいけません。
各病態を評価する際は以下を参考にしてください。
では、それぞれ具体的に解説していきます!
ここでまず言いたいのは、攣縮とスパズムは同じだよ!ってことです。
筋攣縮(筋スパズム)
筋攣縮のメカニズム
その名の通り、筋肉が痙攣した状態。
侵害刺激に対し侵害受容器が反応し、脊髄内へ伝えられます。
それにより、脊髄反射が起こってα運動ニューロンへ作用し、筋肉が痙攣を起こします。
筋攣縮が起こると、筋内圧の上昇によって血管が圧迫され、筋肉は虚血状態に陥り、発痛物質が放出されるため、疼痛が出現します。
それにより、ポリモーダル受容器などの閾値が下がり、刺激に対する感受性が高くなることで、さらに疼痛が発生しやすくなります。
また、そのせいで脊髄反射で筋攣縮が持続、筋内圧が高い状態が持続し、疼痛が発生しやすいという負のループに陥ってしまいます。
つまり、そもそもの侵害刺激を起こす要因を排除することはもちろん、筋内圧が高い状態を改善することが、筋攣縮による疼痛を解消するために必要となりま
す。
この最たる例が脊損の方や脳卒中の方の動いていないけど痙性からくる痛みです。
皆さんもやってみるとわかりますが、ずっと力を入れ続けているとその力を発している筋組織が痛くなります。ずっと立っていると足が痛くなる経験をしたことがありませんか?
それです。
筋攣縮へのアプローチ
筋攣縮へのアプローチには、Ⅰb抑制による同名筋の筋緊張を抑制、筋ポンプ作用による血液循環の改善と発痛物質の排泄を狙い、低強度での等尺性収縮を行います。
筋攣縮は収縮時痛も伸張痛もあるので、ストレッチは疼痛を誘発してしまう恐れがあるので、適していません。
圧痛もあるので、マッサージもあまり適しているとは言えません。
なので、等尺性収縮で筋腱移行部の伸張を狙うのが効果的です。
筋短縮
筋短縮のメカニズム
筋短縮は、筋実質の伸張性低下や筋膜の粘弾性低下などによる構造的な問題です。
筋の伸張時、筋繊維を構成する最小単位である筋節が長軸上に伸びますが、この筋節が減少した結果、伸びにくくなると筋短縮と呼ばれる状態となります。
筋節はアクチンとミオシンから構成され、伸張されると両者が滑走することで、1つの筋節内のアクチン間が引き離されるので、筋肉が伸びます。
つまり、筋節が多ければそれだけ筋肉が伸びるということ。
筋短縮に陥ると、筋繊維を構成する筋節の数が少なくなるので、それだけ伸びることができなくなるということになります。
アクチンとミオシンの滑走性の重要性がここで活かされます!
興奮収縮連関、
久しぶりにこのワードを目にしたんじゃないでしょうか。
学生の時、生理学の講義で悩んだ人は多くいるんじゃないかなぁって思ってます。
少なくとも筆者は学生時代、ここでつまづきました笑
筋短縮へのアプローチ
筋節の合成による筋実質の延長を狙い、ストレッチや等尺性収縮を行います。
筋短縮は伸張時痛を伴うので、まずは等尺性収縮で筋腱移行部の伸張を狙い、筋緊張の抑制と筋節の合成を図ります。
いきなりストレッチをすると、伸張痛による防御性収縮で上手く伸張できないこともあります。
その後、疼痛に応じて筋繊維全体を狙ってストレッチをするのが良いでしょう。
ストレッチだけではなく、等尺性収縮を行うメリットは、ストレッチより伸張痛が出にくいこともありますが、筋収縮による熱産生で架橋結合した筋膜のコラーゲン分子を分離しやすくするということもあります。
癒着
癒着のメカニズム
筋は周囲の別の筋肉や腱、脂肪体などと互いに滑り合って収縮します。
癒着とは、組織同士が一塊となって滑走しないことを指します。
骨折や手術に伴う筋肉を含む軟部組織の損傷があると、組織が治癒する過程で、損傷した組織だけではなく、周囲組織も一緒に癒着、瘢痕化します。
癒着部位は近位も遠位への動きに対しても局所的に抵抗感が高まり、収縮時痛も伸張時痛も起こりうる可能性があります。
局所的にというのがミソで、筋攣縮は筋繊維全体の緊張が高くなるのに対し、癒着は癒着部位周囲のみに硬さや疼痛があります。
癒着へのアプローチ
伸張と収縮によって、遠位方向と近位方向への滑走を促します。
なので、筋肉を伸張位で等尺性収縮し、徐々に可動域を広げ、等尺性収縮を繰り返すことで、遠位方向と近位方向への滑走性を促していきます。
まとめ
筋攣縮、筋短縮、癒着、それぞれのメカニズムを理解すると、それに対するアプローチも明確になります。
まずは、筋肉の問題がどれに当たるのかを評価し、それに合ったアプローチで問題点の改善を図りましょう!
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