コラムタイプは久しぶりですね。
日頃の臨床で久しぶりにガツンとくるタイプの症例がいたので報告も兼ねてコラムにしちゃいました。
皆さんの日頃も、もしかしたらこういった症例が隠れているかもしれないのでぜひご参考に。
では、いきますん。
・「歩く時に左の股関節の外側が痛いんです。」っていう症例にどう対応する?
今回の症例は、歩く時の左股関節外側痛を訴える症例です。
ドクターからの診断は、左変形性股関節症。
ざっと症例の情報を書くと、
cc.:歩く時に左股関節の外側が痛い。
hope:痛み解消、スポーツ復帰
です。ほほう。んで、パーソナリティは、、、
パーソナル
・女性
・40代
・スポーツ歴長い(バドミントン)
・仕事はつい最近までインストラクター、今はデスクワーカー
・子供2人
・明るい性格
・細かい説明までもらいたいタイプ
・雑談も欲しい感じ
現病歴
病院で診断はないが、昨年から足に力が入らない感じがあり狭窄症かな?とは思っている。
実は、症状が出てきたのは昨年からだが5-6年前から力が入らない感じはあった。
といった感じ。
評価内容がこちら
観察内容
gait:Rt.LR~Mst時に外転歩様ありのこのフェーズで痛みがありけり、Lt.Isw~Tsw時に左股関節内旋、右が尖足様症状あり
歩行中の痛みは左中殿筋〜TFLあたり
ROM(pass.)
左股関節屈曲100p、外転内転ともにn.p、外旋内旋(E/I)は、30/45、痛みは屈曲時の痛みのみ、箇所は歩行中に痛む部位と同じ中殿筋〜TFL
右股関節屈曲90p(この疼痛部位も同じ)、外転内転ともにn.p、E/I=25/45
MMT
膝伸展が3+
かかと上げが3-
てな感じ。
ちなみに、余談ですが外来患者さんなので導入から問診して評価途中のここまでで約5分。
観察の時点で、おや?という症状がありそれが書いたように尖足ぽい感じ。ん〜、足に力が入らない感じが去年からあるっていうしこれは怪しいぞということでデルマトームとミオトーム(マイオトーム)チェック。
ん。
デルマトームL2-5は問題ないけど
ミオトームL4(TA)とS1(下腿三頭筋)に陽性反応ありだぞ、、、、?
腱反射もしとこ。どれ
膝蓋腱反射:(+++) 超亢進
うむ、L2-4で当てはまるな。
SLRだと、
角度40で腰痛あり。
ほぼ確定ですね。
LCS(=腰部脊柱管狭窄症)の疑いもあります。
おそらく領域としては、L4-S1あたりの筋組織に神経症状が出ている感じです。
事実、TAと下腿三頭筋は力も入らない感じなので。
足趾の屈曲なんてできたもんじゃないです。
となると、この左股関節の痛みはどうやら、問題点は左にはなさそう。
というのがこの時点でわかりますね。
はいここまでで約10分。残り10分。
今必要なのは、神経症状を落ち着かせるというよりもシンプルに大腿部の筋力強化。
それはなぜか。
この神経症状、確かに出ているのですが急性期ではないから。
つまり優先順位的には低いわけです。
むしろ優先度が高いのはこの時点で4すらもない膝伸展のMMT。
こっちの方が問題。
ただ、腱反射が亢進しているのでただの筋力低下ではなく
出力低下もありそうだったので、念の為タイトネスチェック。
ありますあります、タイトネス。
ストレッチもした方が良さそうですが、ここはリリースで手を打ちましょ。
サクサクっとリリースして、MMTも兼ねて膝伸展運動を15回(回数は適当です)
この時点での立った感覚を教えてもらいました。すると、
「きた時よりも、明らかに立ちやすいです!」
とのこと。
ほほう、では歩きは?と観察してみると、
「足をぶん回さずに歩ける!すごい!」
との嬉しそうな言葉が。ニヤリ。
ただ、まだ尖足ぽいのは残っている。
さてどうするか。
間違いなく総腓骨神経の一部の問題。
どこかは明確にならんが、その辺りをアプローチしたい。
実はアプローチの方法、最近見つけました。
ただなんでこれが効果出るのかをちゃんと、論理的に説明できないのでまだご紹介はできないのですがそれをしました。
すると、
「全然、さっきよりも足をついている感じがする!」
なるほどなるほど。
どうやら、深部感覚だけじゃなくて表在感覚も変えることができた様です。
これで17分。そろそろ終わりの時間。
ということで、このかたのリハビリは一旦ここで終了。
自宅でやってもらうことは、ただ一つ。
膝をたくさんしっかりと伸ばすこと!
ただそれだけ。
それだけ?
と思う方もいると思いますが、実はかなり大切なこと。
実は現代人の多くは膝をしっかりと伸ばし切るという行為をなかなかしない!
特に下肢障害を抱えた人は!
できなくなった、というのもありますけどやらなくなったが故に障害が発生しているのも多いので。
はい、最後に次回予約を取ってこれで20分。無事に一単位で終わり、効果も出せましたよって感じ。
ただ、一年以上経過しているものなので、間違いなく次回時にはまた身体機能はほぼ戻っていると仮定してOK。
じゃあ、どうするの?っていうのが外来リハです。
お伝えしたいこと!
それは!
ドクターの診断を鵜呑みにしないこと、です。
とりわけ外来では。病棟でもそうですが。
えっと、ドクターも人ですから見逃す場合があります。
それが悪いわけではありません。
なんなら、リハ職が見逃している場合も大いにありますので。
必要なのは、常にアンテナを貼りまして、生じる全ての現象に対して疑問を持つこと。
そして、その疑問に対して自分なりの仮説を立てる瞬発力を鍛えることです。
臨床における現象が見られる時間は一瞬です。
その一瞬をいかにして、逃すことなく捉えるか。
それを意識しているだけでもきっと、臨床力が上がります。
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