医療機関では、急変時対応のマニュアルなどが存在しているかと思いますが、医療機関外だと、マニュアルがなく、いざという時どうすればよいのか?と悩むこともあります。
そこで今回は目の前の患者さんが「てんかん」を起こしたときに、焦らず対応できるように、知識を整理していきたいと思います。
●「てんかん」とは何か?
まず、細かい話になりますが「てんかん発作」と「てんかん」は別になります。
「てんかん発作」は脳の神経細胞が何かしらの原因(あるいは原因不明の特発性)により、過剰に活動した結果生じる現象になります。
一方、「てんかん」とは条件を満たした上で診断としてつけられる疾患名になります。
「てんかん」の定義はこれまで色々と変化してきており、おそらく最新と思われる定義は上記の通りになっています。
この辺りも知識として、知っておくとよいですよね。
●有病率
日本全体では、60万~100万人と言われています(厚生労働省HPより)。
割合でいうと、そこまで多くないと感じるかもしれませんが、脳卒中などの疾患を有していると発症割合が高いことは様々な論文で報告されています。
●発作分類
発作分類は焦点発作か全般発作かで分類されます。
*他にも特発性か症候性かといった分類もありますが、まずは目の前の対象者にてんかんが生じた時に、どのような症状を呈するのかについて知っておくことが大事なので、ここでは割愛しています。
●発作時の対応
大発作が生じると、救急要請が必要になります。その際、まずは安全の確保が重要となりますので、上記のようなポイントを頭に入れておくとよいでしょう。
特に、転倒してしまうと骨折のリスクなどもあるため、転倒や外傷には注意が必要です。
また、発作に遭遇した場合、観察と記録が重要です。
特に発作の時間(持続時間・最終発作時間)、どこから発作が生じ、どの部位に派生したか、バイタル、前後の症状変化などは重要です。
例えば5分以上持続的な発作が続いた場合、重積発作という診断になり得ます。
これらの情報をもとに、病院到着後医師が診断をしていくので、発作に遭遇した場合は、焦らずこれらの情報をできるだけ観察・記録し、救急隊員に伝えることが重要となります。
●再発予防
最後に、てんかんの再発予防を考えるうえで、参考になる表現があったので紹介したいと思います。
「てんかん」を発症すると、抗てんかん薬を長期的に内服する必要性があります。
それは、「てんかん」は火種であり、怠薬などをしてしまうと、一見症状が落ち着いていてもどこかで発火(大発作)してしまうリスクがあるからです。
抗てんかん薬という水の調整を行うことで、長い時間をかけて火種を消していく。これが慢性期治療では重要とされています。
我々としても、患者さんが怠薬していないかなどを日々確認することは重要になります。
てんかん発作に遭遇したことのない人も多いかもしれませんが、上述した通り、特に脳卒中などの既往を持つ方の発症率は決して低くないです。
少しでも知っておくことで、いざという時に対応できるので参考にしてみてください
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